綾広の滝
東京都青梅市御岳山(御岳沢)
養沢川の最上流にあるけれど、秋川から養沢川を遡って来る人はほとんどいないだろう。多摩川側からケーブルカーで御岳山に登り、裏へ回ってロックガーデンを歩くのが通常のルートだ。そのロックガーデンコースの最後に、高さ10mの綾広(あやひろ)の滝が落ちている。
滝の前には鳥居のような「禊乃門」が建っている。ここでは御岳山で修行をする人たちが滝に打たれる「滝行」が今も行われているのだ。
ところで、門の名前になっている「禊(みそぎ)」という言葉が有名になったのは、田中角栄首相(当時)が逮捕され戦後最大の疑獄事件と言われたロッキード事件(1976)の時。罪に問われても選挙で当選すれば公には許されたことになる、と言う政治家の身勝手な(あるいは有権者の甘い)体質が「選挙で禊ぎを受けた」と表現され、せっかくの神聖な神事が、汚らわしい政治用語になってしまったのが残念だ。
それはさておき、清らかに落ちる滝の飛沫を肌に感じ、爽やかな山の空気を深呼吸するのは気持ちがいい。滝の音で雑音が遮断されて、疲れた心が落ち着いてくる。特に宗教的なことをしなくても、滝見行はわたしの日常の支えになっている。