吹上隧道(旧吹上トンネル)
東京都青梅市黒沢2丁目―成木8丁目間(成木街道)
青梅街道の始まりは、江戸城築城に使用する成木地区の石灰を運ぶために慶長11年(1606)に開かれた成木往還(成木街道)だという。現在の成木街道・新吹上トンネルの成木側出口の先には、「青梅街道発祥の地」と書かれた看板が立っている。
その新吹上トンネルは、平成5年(1993)に開通した。その横には昭和28年(1953)にできた吹上隧道(旧吹上トンネル)、その上には明治37年(1904)竣工の旧吹上隧道(現在は通行止め)、さらにその上には文政11年(1828)に開かれた切通しが残っている。交通の要衝であったために、何度も改修が重ねられて今の道になった。
現在は歩行者・自転車専用道となっている吹上隧道を走ってみた。昨日までの雨の影響で、黒沢側では道路の脇から二本の滝が落ち、その水が落石で荒れた路面を洗い流さんばかりの勢いで流れていく。トンネルを抜けて成木側に出ると、出口の上から大量の水が落ちていていた。滝の裏に隠されていた秘密の洞窟から出るような雰囲気だ。
と書くと凄い所のようだが、普段は静かで味わいのある旧道なのだろう。所々に顔を出すヤマユリや遠くに聞こえるヒグラシの声を愛でながら、つかの間、トラックのいない静かな山道の風情を楽しんでまた元の成木街道に戻った。