2011年8月28日(日)

夫婦の滝

東京都西多摩郡檜原村小沢4180の先(湯久保沢)

夫婦の滝

二つの沢(川)が合流する所を「出合い」という。この二本の滝は、向かって左が湯久保沢、右がその枝沢で、二つの沢はここで出合って(出会って)、すぐに夫婦になってしまったというわけだ。ご両人のお披露目に立ち会えて、こんなにうれしいことはない。そんな景色だ。

道標

最近の雨の影響もあるとは言え、さすがにダブルで落ちる滝の勢いは凄い。離れていてもカメラのレンズが飛沫で曇ってしまう。涼気が周囲に満ちていて気持ちが良い。

この滝を見るのは簡単ではない。都道の御前山登山口バス停を過ぎ北秋川がほぼ直角に曲がった先を右折して夏地橋を渡り、湯久保林道を突き当たりの湯久保集落まで上る。道は沢から離れてぐんぐんと登っていき、途中で展望が開けると谷を隔てた浅間尾根方面の景色が良い。

沢の音が聞こえないほど上に登ってきたのに、林道の終点は山肌から染み出る水でびしょびしょに濡れていた。「湯久保」という地名はこの清水から来ているらしい。自転車はここまで。この先の登山道は、踏み跡ははっきりしているものの、両足を揃えたら路肩を踏み外しそうなぐらい幅が細くて緊張する。ほぼ水平に植林の森を横切り、やがて夫婦になる二つの沢を渡った後、尾根通りへ行く道に分かれ、一転して草だらけの道を沢へと降りていく。表通りから自転車30分、徒歩30分。滝の姿を目にして、思わず感動の声が出た。

深い山の奥で誰にも邪魔されず、夫婦(めおと)の滝は、二人だけの幸せな時を過ごしている。