2012年1月19日(木)

狢塚(むじな塚)

東京都葛飾区亀有5-54-25(見性寺)

狢塚(むじな塚)

昔の人は、狸や狐によく化かされていたらしい。色っぽい女の人について行って畑の真ん中で素っ裸にされたり、馬のクソを喰わされたり、散々な目にあっても笑ってすませていたのんきな時代だったようだ。

見性寺

そんな時も過ぎ、里が町になって狐狸には住みにくい時代がやってくる。ある日、タヌキたちがのんきに腹鼓を打って遊んでいるそばを、黒くて大きな生き物が煙を吐きながら通り過ぎていった。それから頻繁にやってくるようになったその生き物は、大きな雄叫びを上げ、力強い足音を立ててなんだかとっても強そうだ。

ちょっとおいらも真似してみようとその生き物(汽車)に化けて遊んでいた狸が、ある時本物の汽車と衝突して死んでしまった。そのタヌキを埋めて弔った跡に建てられたのが、この狢塚の碑だ。

碑の裏には「昭和廿八年冬」(1953)に建てたとある。「そのむかし狢うめたる○○(判読できず)かな」という歌が添えられており、タヌキの轢死事故があったのは常磐線が開通した明治時代のことらしい。戦後になってもまだ化けだぬきのことを憶えている人がいたということに心温まる物を感じる。

ところで、写真ではちょっとわかりにくいけれど、碑の後ろにはたくさんの薪が積んであった。これでは、背負った柴に火をつけられて大やけどを負った「かちかち山」のご先祖様が思い出されて、このタヌキくんは安心して眠れないのではないだろうか。

境内にある宝篋塔の説明板