待乳山聖天
東京都台東区浅草7-4-1
「乳」という字があるので、何となくもやもやしたものを感じていたのだが、訪ねてみてビックリした。境内のあっちでもこっちでも、あっけらかんと、二本の大根が睦まじく足(?)を絡めている。
我が家の家庭菜園でもこういうセクシーな大根や人参が出来ることがあるけれど、それをお寺に祀ってしまうところが何ともおおらかで微笑ましい。ちなみに左の写真の碑は、色街・新吉原の神楽講中が文政三年(1820)に奉納したものだ。
ここでは一家和合と健康を願って、お詣りの際には大根を供えるしきたりになっている。もちろん、その大根は股が分かれていない普通のものだ。
わたしが滞在したわずかな間にも、大根を持った信者が続々とお詣りに訪れる。そんなにたくさんの大根を仏様は食べきれるのだろうかと思ったら、拝殿の脇に、「お下がり」と称してお供えの大根を半分に切ったものが持ち帰り用に置いてあった。これを食べることによって待乳山聖天の徳を授かり、健康になれるということらしい。
待乳山はその名の通り隅田川に面した小高い丘になっていて、江戸時代には景色の良い展望台として賑わったという。現在はどんな景色だろうかと期待して行ったのだが、境内のあれこれに目移りがしてうっかり眺望を確かめないで引き上げてきてしまった。残念。
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