梅若塚
東京都墨田区堤通2-26-3(梅若公園)/堤通2-16-1(木母寺)
謡曲「隅田川」で有名な梅若伝説の地、と言われてもピンと来ない。謡曲とは能の台本にあたるものだが、そもそも、能を見たことが一度か二度あるかないか。それがなんという題だったかも記憶にないぐらいだから。
隅田川の白鬚橋の両岸にある梅若塚と妙亀塚は、対になって梅若伝説を今に伝えている。人さらいにさらわれた梅若が命を落として葬られたのが墨田区側の梅若塚。その母が我が子を探して辿り着いたこの地でその死を知り、菩提を弔うために庵を結んだ地とされるのが台東区側の妙亀塚だ。
隅田川に沿ってずらりと並んだ高層住宅の中にある梅若公園には、昭和44年(1969)に建てられた「都旧跡 梅若塚」の碑が建っている。住宅西側にある木母寺とその境内に祀られた梅若塚は、この住宅建設のために、昭和51年(1976)にここから移転したものだ。
謡曲「隅田川」について調べていたら、高校の演劇鑑賞会で見た人形浄瑠璃が「傾城阿波の鳴門」だったということが分かった。高い声で「アーイー、とと様やかか様に会いたいぃー」などと子役人形の真似をして笑い興じていたことが懐かしい。