鯖大師
東京都福生市熊川716(福生院)
「おーい、でっかいのが釣れたぞ。これで一杯やるかー。」
と、言っているのではもちろんない。左手に持っているのは釣り竿ではなく錫杖、右手に持っている鯖は托鉢で得た信者からのお布施だ。
福生(ふっさ)の福生院(ふくしょういん)は、奥多摩新四国八十八ヶ所に連なっており、番外霊場四番の鯖大師が祀られている。一見釣りの神様のように見えるけれど、これはお遍路中の弘法大師。高僧とは思えない、何とも庶民的な雰囲気が面白い。
多摩川を目の前にしていながら、このあたりは高台のため住民は水不足に悩まされていたという。ここへ来る途中のポケットパークにあった「伝 地頭井戸」は、そんな村人たちのために地頭の長塩氏が掘ったと伝えられている。その長塩氏の墓が、墓地の入口にひっそりと建っていた。
長塩氏の墓 | 伝 地頭井戸 | 嘉元四年銘板碑 | 伝開山月堂宗秋禅師坐像/釈迦如来坐像