大観音の梅
東京都文京区向丘2-38-22(光源寺)
青い空と白亜の観音堂に紅白の梅の花が映える。白山通りから谷中を通って上野に向かう途中に、梅の名所を見つけた。
梅の木はそれほど多くないけれど、皆それぞれに樹齢を経た名木揃いで見応えがある。中でもひときわ大きな白梅は、樹齢300年と推定され、蓬莱梅(ほうらいばい)と名付けられている。
駒込大観音(こまごめおおがんのん)として知られる光源寺は、天正17年(1589)に創建され、慶安元年(1648)に神田から現在地に移転してきた古刹だ。江戸名所図会にも描かれていたという大観音像は戦災で焼けてしまったため、平成5年に現在の観音像が再建された。
墓地には甲冑師明珍本家の墓がある。室町時代から続く家系は今も続いており、時代の移り変わりとともにその技は甲冑から火箸、そして四本の火箸を組み合わせた明珍風鈴へと受け継がれてきた。姫路の伝統工芸品として知られる明珍風鈴は、その涼やかな音色で世界的に高い評価を得ているという。