薬王院のボタン
東京都新宿区下落合4-8-2
ボタンの名所といえば奈良の長谷寺が有名だ。その長谷寺の末寺にあたり東長谷寺を名乗る下落合の薬王院には、本山から移植した多数のボタンが植えられ、開花の季節には多くの参詣者が訪れる。
境内は目白の台地が神田川・妙正寺川へと切れ落ちる崖線をまたいでいるので、本堂は清水の舞台のように崖からせり出して建っている。その足もとから登っていく参道沿いにたくさんの牡丹が咲いている。咲き終わった桜の花びらがその根もとに散って、ピンクの絨毯を敷いたようだ。
山門を入ってすぐの参道脇には屋根が掛けられた牡丹棚があり、丹精込められた大輪の花がずらりと並んでいる。「百花の王」と呼ばれるにふさわしい見事な咲きっぷりに、訪れる人たちのため息とカメラのシャッター音は、いつまでも途切れることが無かった。