2012年5月12日(土)

鈴法寺跡

東京都青梅市新町1-22-18(鈴法寺公園)

鈴法寺跡

仏教の宗派がわからない。キリスト教ならカトリックとプロテスタント、イスラム教ではスンニ派とシーア派と言った二大宗派があって、それがさらに細分化されていると理解しているが、浅学にして仏教についてはどれがなにやら皆目見当もつかない。

歴代住持の墓

鈴法寺は禅宗の一派・普化(ふけ)宗括総派の総本山であったが、明治四年(1871)に太政官布告によって普化宗が廃宗とされたために廃寺となったという。いかがわしい新興宗教でもあるまいに、政府によって廃止されるとはどんな宗派だったのだろう。

時代劇に深編笠を被って尺八を吹きながら行脚をする虚無僧が登場することがある。怪しい謎のキャラクターとして登場し、たいていは隠密か刺客であることが多い。あの虚無僧が普化宗の僧なのだそうだ。

時代劇の世界はあくまでも虚構ではあるけれど、あながちでたらめな作り話ばかりとも言い切れない面もあったらしい。普化宗の寺が浪人の隠れ場になり、虚無僧姿を隠れ蓑とした不良浪人が横行したことで幕府の干渉をしばしば受けることもあったという。そんな虚無僧と武士、幕府の関係を嫌った明治政府によって普化宗はその活動に終止符を打たれることとなる。

今は児童公園となった廃寺跡には遊ぶ子供もなくひっそりと静まりかえっている。虚無僧が尺八を吹くことによって辿り着こうとした「無」の世界のように。

東京都教育委員会の説明板