二・二六事件慰霊像
東京都渋谷区宇田川町1-1
古くからある神社の境内や旧街道の辻などで、「招魂碑」「忠魂碑」などと書かれた大きな石碑を見かける事がある。その土地から出征して戦死した兵士を慰霊するものだ。戦没者としては空襲の被害を受けた市井の人々と変わる事はないのだけれど、わたしにはなんとなく戦争をポジティブにとらえるもののように思えて避けてきた。
渋谷公会堂の裏手に建つ二・二六事件慰霊像にも、そう言う意味で、どう向き合って良いのか少し心に引っかかるものがあるのは否めない。
首謀者たちが処刑された陸軍衛戍刑務所跡に建つ慰霊碑には、いつみても献花の絶える事がない。事の正否は別として、歴史の転換期に起きたドラマに胸を打たれた人が多いのだろう。
「オ前達ノ父母兄弟ハ国賊トナルノデ泣イテオルゾ」という有名な「兵に告ぐ」のビラとラジオ放送によって反乱軍は帰順しクーデターは失敗に終わったとはいえ、この事件を契機に軍部は影響力を強め、日本は戦争へと一気に進んでいった。
彫刻は三國慶一、設計の川元良一は事件の際に戒厳司令部が置かれた軍人会館(現九段会館)の設計者でもある。