2012年8月9日(木)

日野宮神社

東京都日野市栄町2-27-19

日野宮神社

子供の頃、ウナギは高価な贅沢品で、滅多に食べられるものではなかった。祖母が7月の生まれだったので、土用の丑の日に、長寿を願って鰻丼か鰻重の出前を頼むのが年に一度の楽しみだったものだ。

今ではスーパーでもウナギの蒲焼きを買えるようになったけれど、今年はウナギが高騰して店じまいする鰻屋もでているとか。シラスウナギ(ウナギの稚魚)の不漁が原因だという。

庶民が口にするウナギはほとんどが養殖物だが、養殖とはいっても卵を産ませて育てるのではなく、稚魚を捕ってきて育てるのだから半分は天然物みたいなものだ。しかも、その稚魚がどこで生まれてどんな風にして成長するのか、ウナギの生態については解明されていないことが多いというから、それを大量に消費するというのはある意味無謀な食文化といえるかもしれない。

日野宮神社を鎮守とする日野の四ツ谷地区では「鰻を食べてはいけない」とされているという。昔、多摩川が氾濫しそうになった時、ウナギが堤防の穴を塞いで人々を守ってくれたことに恩義を感じてのことだ。

あんなにおいしいものを食べないなんてもったいない、とも思うけれど、貴重な自然を守るための先人の知恵でもあるわけで、乱獲して高騰を招いた現代人は心して耳を傾けるべき話かもしれない。

(日野市教育委員会の説明板) 木造阿弥陀如来立像 | 木造菩薩立像 || 日野宮神社氏子会の説明板