深大寺城そば畑
東京都調布市深大寺元町2-36
「仕事を辞めて蕎麦打ち職人になる」と口癖のように言う同僚がいた。いまだに職人になった話は聞かないが、散歩をしていて、なんでもない住宅地の真ん中にポツンと開いている「こだわりの蕎麦屋」みたいな店を見つけると、似たような人は少なくないんだなと、ちょっと感慨深くなる。
深大寺城趾のそば畑の花が見頃になってきた。深大寺小学校の生徒が深大寺そば組合と一緒に育てているものだ。
「温泉に行きたい」とか「南の島でのんびりしたい」と言うのと同じように、「蕎麦打ち職人になる」にも仕事が辛いときの逃避願望を表した常套句みたいなところがあった。彼のことを思い浮かべながら、それでは一所懸命にそばを育てている小学生や名産のそばに誇りを持っているおそば屋さんに失礼だなと思ったけれど、「何もしたくない」と後ろ向きな「温泉〜」や「南の島〜」と違って、「蕎麦打ち職人」は「何か別のことに打ち込みたい」という前向きな姿勢が見える。そこの所を評価して許してもらえるかな。