MARC JACOBS 青山
東京都港区南青山5-3-27
小振りな缶を開けるとおしゃれなパッケージに小分けされたお菓子がきれいに並んでいる。ひとくちにも足りないほどの一片を口の中に放り込めば、上品な味が広がってうっとりするものの、なんか物足りない。三つ四つをわしづかみにすると、あれ、もう無くなってしまった。
この建物を見た時の最初の印象は、そんな高級なお菓子の化粧箱。一階はプラスチックのクリアパッケージ、二階は緩衝材を兼ねた片面段ボールの黒い紙箱、粉砂糖をまぶしたような三階は和紙で包んだようにも見える。
設計はステファン・ジャクリッチ(Stephan Jaklitsch Architects)、2010年竣工。
「Void (空間)」と名付けられたガラス張りの1階は開放感を演出し、チョコフレークを積み重ねたようなタイルピースを配した2階「Rock(岩壁)」の黒が全体を引き締めている。アルミのパンチングメタルで覆われた最上部の「Lantern (灯籠)」は、その名の通り夜はライトアップされて夜の表参道にラグジュアリーな雰囲気を醸しだす。小振りながら、表参道に林立するデザイン建築に負けていない小粋な建物だ。