境バス停
東京都西多摩郡奥多摩町境(境橋)
御前山から下りてきて境のバス停に着いた。行ったばかりではないけれど、次のバスが来るまでには30分以上ある。わたしの後から下りてきた人は奥多摩駅まで歩いていくと言うけれど、わたしはベンチに座ってぼんやりと待つことにした。
バス停は境橋の上にあって、車が通るたびに弾むように揺れる。こんなところにバス停を作らなくても良さそうなものだが、橋の両側には橋詰トンネルと白髭トンネルが迫っていてバス停を作るような余地はない。
バス停から正面に見える尾根の端には木々の間から切りたった岩壁が見えた。これで少し霧でもかかっていたら深山幽谷の雰囲気満点だろう。遠くで山鳥の声も聞こえる。5日前に自転車で通った時には気付かなかったいろいろなものが見えてくる。
待つ以外に何もできない時間を過ごすのは久しぶりだ。わたしはヘッドフォンステレオもスマートフォンも持たないので、ぼんやりと待つ以外にしようがない。でも、それがとても心地よい。