御前山のカタクリ
東京都西多摩郡奥多摩町境
御前山に春を告げるカタクリだが、まさか雪の中で咲くことになるとは思ってもいなかったのではないだろうか。先週は暖かい日が続き見ごろになったと聞いて出掛けたのだが、週末に襲った記録的な寒波で山は白銀の世界に戻っていた。
一面の雪景色の中、わずかに顔を出した花は寒さに縮こまっているように花びらを閉じて、まるで別の花のようだ。それでも懸命に咲こうとしている姿がいじらしい。
群生地には、「カタクリは7年かかって咲く貴重な花である」旨の立て看板が、しつこいぐらいにたくさん立てられていた。それほど訪問者のマナーが悪いとしたら残念だ。それが杞憂であればよいのだが。
7年のうちにはもっと辛い目に会ったことだってあったかもしれない。風雪に耐えてきたその歳月を思えば、これっぽっちの雪で萎れるわけにはいかないぜ。こんなに小さくて華奢に見えるカタクリだけれど、うちに秘めた力は強そうだ。
自然への畏敬の念を改めて思い起こさせられた出会いだった。