陸軍滝
東京都西多摩郡檜原村南郷 矢沢支流熊倉沢
水の少ない滝の前に立つと、何となく物足りないものを感じる。どうどうと大きな音を立てて、豪快に落ちている方が断然気持ちが良い。
と、今までは思っていたのだが、必ずしもそう言うものでもないようだ。
連日の猛暑で大気が不安定になっている。陸軍滝にたどり着き、写真を撮り始めた直後に雷一閃、雹混じりの猛烈な雨が降ってきた。炎天下で火照った体を気持ち良く冷やしてくれる、なんて呑気なことを言っていられないどしゃ降りだ。
隠れるところもないので濡れるにまかせて待つこと30分ほどで雨が上がると、沢の水量は一気に増して、滝の様相は写真左から右へと一変した。
初めに見た時には水量が少なく、高さの割に見栄えのしない滝だなぁと思っていたのだが、こうして雨の前後を比べてみると、(合成写真なのでちょっと歪んでいるけれど)雨の前の方が味わいがあってイイ感じだ。三段になった滝の、それぞれの段がそれぞれに異なった表情を見せている。
ところで「陸軍滝」という名前にはどんな由来があるのだろう。軍隊に何か関係があるのか、あるいは似たような別の名前に適当な漢字を当ててこうなってしまったのか。檜原村には珍しい地名が多いけれど、もしかしたらこの名前もその例のひとつなのかもしれない。
私見では、滝の三段を大将・中将・少将あるいは大将・大佐・大尉の三階級になぞらえて軍隊の名前を付けたのかな、と思ってみたりもしたのだが…。