旧陸軍騎兵実施学校・天覧台
東京都目黒区大橋2-17
東邦大学医療センター大橋病院の裏手にある公務員住宅の前に「天覧臺」と大書された石碑が建っている。碑の後ろの窪地にある都立駒場高校のグラウンドは、かつて旧陸軍騎兵実施学校の馬場だった。ここで行われる卒業馬術を明治・大正天皇がごらんになった場所が天覧台だ。
石碑の表面に黒い筋が付いているのは、よくある雨垂れによる汚れではなく、おそらく題字を削り取った跡だろう。戦後、GHQの指示により軍国主義的な石碑や彫像の類はことごとく表舞台から葬り去られた。その痕跡だ。
碑は昭和五十六年(1981)に復元され、その経緯を記した由来記が隣に建てられている。
天覧は当初露天で行われていたが、雨天の場合などを考慮して明治四十四年(1911)にコロニアル様式を基調とした木造2階建ての御馬見所が建てられた。大正五年(1916)に学校の習志野移転に伴い建物も移され、現在は「空挺館」と名前を変えて陸上自衛隊習志野駐屯地内に保存されている。
洋館がここに残されていれば、駒場の旧前田侯爵邸と併せていい散歩コースになったのに残念だ。