2013年9月29日(日)

昭和の街路灯

東京都墨田区菊川一丁目 新大橋通沿い

昭和の街路灯

懐かしさには形があるような気がする。ただ単に時を経ていれば良いというわけではない。だから初めて見るものに対して、「見たこともないのに懐かしい」という矛盾した表現が許されるのではないか。

根元

水天宮から隅田川を渡って亀戸方面に走っていく途中、雰囲気のある古い街路灯を見つけた。ギリシャ建築の柱にあるような縦溝(フルーティング)で飾られ、根元は粘土で作ってギュッと押しつけたように丸くふくらんでいる。アクセントに付けられた腹巻き状の飾りのオーバル(角丸長方形)模様がかわいらしい。思わず撫でたくなる、すべてが懐かしさを醸しだすデザインだ。

わが家の近くの畑では類似した電柱の残骸が柵の代わりに使われているから、わたしもこの形の街路灯を子供の頃に見ているかもしれないのだが、記憶にあるのは木の電柱と琺瑯引きの電灯のスイッチばかり。でも、見た瞬間に堪らなく懐かしい思いに駆られて自転車に急ブレーキを掛けた。

付けられた銘板には「菊友会 昭和三十二年十二月完成」とある。わたしと同学年だ。風体はくたびれてきたけれど、お互い頑張ろうな。