代官山ヒルサイドテラス
東京都渋谷区猿楽町・鉢山町
代官山は空が広い。旧山手通り沿いの建物はみな階数を抑えて低く作られ、尾根筋にあるから遠景もその陰に隠れている。その青空に白いモダンな建築が映える。およそ東京らしくないこの景観の基礎を作ったのが、槇文彦の設計になる「ヒルサイドテラス」だ。
第1期の竣工は昭和44年(1969)。代官山交番前交差点に架かる歩道橋から見ると、左側手前にそのA・B棟が見える。そのまま奥へC・D・Eと続き、その先も同じ槇文彦設計になるデンマーク大使館(1979)。その、山手通りを挟んだ向かい側に第6期(1992)のF・G・H棟。最後に建ったヒルサイドウエスト(平成10年(1998))は少し離れた西郷公園の向かい側にある。
ぱっと目には一様に「白くて四角いモダン建築」に見えるけれど、よく見ればその表情は様々。コンクリートの塊然としたA・B棟からガラスやアルミが主役のF・G・H棟、そしてなんとも軽やかなウエストまで、その変遷はモダン建築の歴史年表を見るようだ。
南側には一帯の地主である朝倉家の旧宅(重要文化財)があり、D棟の裏には古墳(猿楽塚)もある。新旧とりまぜた代官山散歩が楽しい。
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