2014年2月7日(金)

鳳凰閣(旧清明文庫)

東京都大田区南千束2-3-1

正面

古い建物を壊そうとすると、文化財的価値があるから残してくれ、と言う人が必ずいる。「文化財」という言葉は伝家の宝刀、すべてを覆す魔法の呪文のように聞こえるけれど、何でもかんでも残したら世の中は古いものだらけになってしまう。

でも、やっぱり残したい。

側面

ヨーロッパの街にはそうして何百年も使われ続けてきた建物がぞろりと並んでいるけれど、昔から木と紙の建物を建て替えながら暮らしてきた日本人にはそういう付き合い方がうまくできない。地震などの問題もあるので、何となくもてあまして中途半端に扱われてしまうこともあるようだ。

勝海舟の別邸「洗足軒」の跡地である大森第六中学校の北側に建つ趣のある建物は、東洋文明の啓蒙活動を行うことを目的とした清明会という団体により、勝海舟の事蹟資料その他の文書の保管閲覧と講演活動などを行うために昭和8年(1933)に清明文庫として建てられたものだ。文庫としての活動は短く、戦後は学研の所有となって名称も鳳凰閣と変わったが、東日本大震災後に耐震性の問題から取り壊しが検討されて今に至っているという。

正面にネオゴシック様式の列柱を配し、その上部は金色に輝いて王冠のようだ。金網に囲まれた無味乾燥な敷地にポツンと残された姿は裸の王様のようでなんともわびしい。

有効活用の方策が一日も早く策定・実施されることを願うばかりだ。