清水窪湧水
東京都大田区北千束1-26
「大」きな「岡」であり「山」であるという名の通り、東急・大岡山駅の周りには坂が多い。いくつもの谷が集まっているので、下った坂はすぐに登りになり、走る向きを間違えるとアップダウンでひどい目に遭う。
その谷の一つ、洗足池に流れ込む沢筋の奥にある清水窪湧水を訪ねてみた。
暗渠になった流れの跡をたどって住宅街を進んでいくと、周りとは明らかに雰囲気の違う一画に突き当たる。水子地蔵がまつられた入口から駐車場のような敷地に入っていくと、その奥に弁財天を祀る池があった。
23区内では珍しい自然湧水だというのだが、池に落ちる滝は池の水をポンプで汲んで落としているもので、雑誌やテレビなどで見かける「写真(映像)はイメージです」という注釈を地でいく演出だった。「イメージ」ではあるけれど「ウソ」ではなく、水量は少ないけれど湧水は今も湧いていて、弁天池から洗足池へと流れているのだという。
池の周りには小さな祠が集まっていて、寄進をした人の名を記したカラフルな旗が参道を彩り、独特の雰囲気が漂っている。湧水地として昔から、そして今も大切にされていることが伝わる心温まる空間だった。