奥多摩湖ロープウェイ
東京都西多摩郡奥多摩町川野872 川野駐車場
奥多摩周遊道路の奥多摩湖側の入口、川野駐車場に場違いな感じの鉄塔が立っている。高圧鉄塔ではなく、上部に滑車が付いているのでロープウェイの跡らしい。山側にロープの跡をたどってみると、木の間からまん丸い瞳でこちらを見ているゴンドラが見えた。
ゴンドラは木々に覆われた廃駅の中で静かに眠っていた。窓ガラスも乗降扉も無くなり座席は取り外されていたけれど、しっかりとロープに掴まって、いつかまた走り出す時を待っている。
駅名表示には「みとうさんぐち」(三頭山口)と書かれていた。対岸の駅は「かわの」(川野)。調べてみると、昭和37年(1962)から昭和41年(1966)までわずか5年間だけ営業していたが、営業成績が伸びず休止になったという。「休止」ではあるけれど、再び動き出すことはもう無いだろう。
半世紀近くの間、営業を再開することも取り壊されることもなくゴンドラは眠り続けている。お客さんの笑顔を載せて活躍した5年間の記憶も、もう薄れかけているかもしれない。今はどんな夢を見ているのだろうか。