弁天の滝(滝山の滝)
東京都あきる野市乙津854付近
滝に呼ばれたような気がした。
檜原方面から下りてきて、畔荷田バス停を100mほど過ぎた右手山側からざわざわと大きな滝の音がする。これまでに何度も通っている道なのに、今日に限って、なぜかその音は大きく響いて思わず急ブレーキをかけた。
階段状に落ちる沢沿いに数メートル上ると大岩に行く手を遮られ、その岩の上を滑るように小さな滝が落ちていた。岩の下には弁才天を祀る小さな祠と石灯籠が一基。石灯籠には文政三年(1820)の奉納であることが記されている。
滝つぼから水を引く黒い管が延びている。今も水利に使われているのだろうか。少なくとも弁才天を祀った200年前には、大切な水源の一つだったのだろう。
現地に案内はなく、ガイドブックやネットの検索でもこの滝に触れたものは見つからなかった。
「私を忘れないでね」
私を引き留めた沢の音は、弁天様の声だったのだろうか。
※ その後、あきる野市の自然環境調査リーフレット「知って守ろうあきる野の自然」に「弁天滝」とあるのを見つけました
このリーフレットを紹介したあきる野市のHPには、「乙津の弁天滝は、滝山の滝に修正となります。(平成25年4月1日)」と書かれていました