朝 靄
岩手県陸前高田市
ツール・ド・三陸当日の朝、空はよく晴れたけれど地上には朝靄が立ちこめて幻想的な景色。深山幽谷でもないのに、ここではよく見る風景なのだろうか。山が海に迫っている三陸では起きやすい現象なのかな。
スタート会場のまわりは、まだ何もない空き地ばかり。見上げるほどに高く土が盛られた造成地がある一方で、まだ手つかずの空き地もある。その広々としたスペースを朝靄が埋めている。
朝靄は、水分を含んだ大気が地面に近いところで放射冷却によって冷やされて発生する。家が建ち並んでいれば、町全域が冷え切ることもないから、こんなに広範囲に靄が発生することは無かったのかもしれない。朝靄のたなびく景色はきれいではあるけれど、実は悲しい思いが秘められた景色でもあるのだろうか。ふと、そんなことを思った。