2014年11月7日(金)

水道記念碑

岡山県岡山市東区犬島

水道記念碑

瀬戸内海に浮かぶ小島の段々畑を、天秤棒を担いだ夫婦が登っていく。作物にやる水を運んでいるのだ。妻が何かの弾みに水をこぼしてしまうと、夫はものも言わずに妻を平手打ちにする。新藤兼人監督の映画「裸の島」(1960)のこのシーンが忘れられない。夫役は殿山泰司、妻は乙羽信子だった。

犬島港

厚生労働省のHPによると、日本の水道普及率は映画が公開された1960年に53.4%、1970年に80.8%となって、現在(2014年3月31日)は97.6%だそうだ。わたしが子供の頃は水道を出しっぱなしにして顔を洗うと叱られたものだが、今の人にそんなことを言ってもキョトンとされるだけだろう。

犬島港桟橋の正面に水道記念碑が建っていた。碑文には「昭和五十年六月二十四日通水」とある。もちろん、井戸などはあったのだろうと思う。全く水のない砂漠だったわけではないとはいえ、そんなに最近まで水道のない生活があったのかと驚く。東京で暮らしていると、「不便」とか「限りがある」とか言う事に対する感覚が麻痺してくるなと、改めて思った。