2014年11月6日(木)

李禹煥美術館

香川県香川郡直島町字倉浦1390

作品

浮世絵に代表される日本美術が、印象派やアールヌーボーなど、西洋の芸術家たちに大きな影響を与えたことはよく知られている。それは現代に至るまで、続いているのではないか、そんなことをふと思った。

柱の広場

「龍安寺石庭」や長谷川等伯の「松林図屏風」などに見られる見立てと抽象化、余白あるいは空間に美を見いだす感覚。芸術に限らず、日常生活にもこの日本的な感覚はあふれている。わたしの思いこみかもしれないけれど、直島のあちこちで出会う現代アートには、そんな日本美術のデジャブ(既視)感が漂っている。

幾何学的なオブジェや空間を好む西洋の作家に対して、李禹煥(Lee U-Fan)の自然石を使ったオブジェや毛筆の筆遣いを感じさせる絵画はわれわれの感覚に近くて親しみが持てる。東洋の血なのかもしれない。安藤忠雄の禁欲的な建物も作品とうまくマッチしている。

美術館に入る前、柱の広場から海に向かってなだらかに続く芝生の広場に作品が点在している。美術館内に展示されている作品はしかつめらしい顔をして哲学的な思索に沈んでいる印象だが、こちらは伸び伸びとして生を謳歌しているように見える。あくまでもわたしの勝手な感想で、作者の意図はわからないけれど、そんな対比が面白い。