万人施宿塔
陸前高田市米崎町沼田
ツール・ド・三陸のコース終盤、浜田川沿いに走ってきた道が県道141号に突き当たる。その丁字路の正面に大きな石碑が建っている。ここを右折すると、もうゴールは間近だ。
碑文には「万人施宿塔」(まんにんせしゅくとう)と大書された横に「天保七丙申」(1836)と建立年が彫られている。江戸時代の飢饉の記憶を伝える碑だ。
川に沿った空き地は冬枯れの田んぼのようにも見えるけれど、よく見れば家の土台のようなコンクリートの跡が見える。広々とした周囲の景色は津波の跡なのだ。この碑も横倒しにされて、やっとこの春に修復された。
歴史的な遺蹟ではあるけれど、わざわざ遠くから来て見るほどのものではなく、観光協会のHPでも紹介はされていない。検索をして見つかるのは、津波で倒されたものが復旧したという、本題とは別の記事ばかりだ。
道ばたのなんでもないお地蔵さんとかこの石碑のような、ささやかな散歩ネタを拾ったBLOGがたくさん書かれるような普通の生活が戻ってくるのは、いつのことになるのだろうか。