2015年2月1日(日)

建築探偵の冒険

東京都小金井市桜町3-7-1 江戸東京たてもの園

先日、久しぶりに江戸東京たてもの園を訪ねたのを機会に、「建築探偵の冒険・東京編」を読み返してみました。今や東京大学名誉教授となった藤森照信を一躍有名にした「建築探偵」シリーズの代表作で、たてもの園の下町中通りに並ぶ看板建築や平成25年(2013)に復元されたデ・ラランデ邸などについて詳しく書かれています。

江戸東京たてもの園

散歩に出たいけれどどこへ行ったらいいだろう、という時に、建築散歩があるじゃないかと教えてくれたのがこの本でした。旅先などでお城や神社仏閣、古い洋館などを見るのは好きでしたけれど、「建築を見る」という意識はそれまでありませんでした。おそらく世の中の人もそうだったのでしょう。藤森探偵団が徘徊し始めた70年代以降、その活動を知った人たちを中心に、身近にある古い建物を見に行こう、そういう建物を保存しようという気運が高まったように思います。

手元にある文庫版初版の発行は昭和64年(1989)。冒頭からチューダー様式の大邸宅に塀の裂目から忍び込んだり、男子禁制の女子大構内に堂々と侵入する話など、地下鉄サリン事件や9.11テロの後の我々にはとうてい真似のできない探偵術が披露されていて、昔はこんなことができた(?)のかと改めてビックリさせられました。

最近復刻再版された「建築探偵術入門」(文春文庫)や朝日文庫の建築探偵シリーズと併せて読めば、あなたも立派な建築探偵の一員になれますよ。