久本横穴墓群
神奈川県川崎市高津区久本1-14付近
大雨が降ると土砂崩れが起きる。裏山が崩れて家が埋まった、などというニュースを耳にするたび、なんでそんなところに家を建てたのだろうと思うけれど、よそ者がどうこう言うようなことではない事情もあるのだろう。
JR南武線の南側に沿った多摩丘陵の縁を走っていると、あちこちで崖崩れの危険区域を示す表示に出会う。武蔵溝ノ口駅南側の住宅地の奥にも「久本B地区急傾斜地崩壊危険区域」と書かれた地図があった。
掲示板の背後の崖はコンクリートでしっかりと固められているのだが、その擁壁の所々にかまぼこ形の窓や激しく落ちる滝などのレリーフが彫られている。
重苦しい灰色の擁壁を飾って崖崩れの恐怖を少しでも和らげようとして設置されているものだろうか。いやいやそんな、そこまでしなくてもいいだろう。レリーフの一つに「久本横穴墓群」と書かれている。これがヒントになりそうだ。
おそらく発見された遺跡が擁壁の後ろに保存されていることを示すサインなのだろう。安全を考えれば適切な処置だとは思うが、せめて教育委員会等の解説板があればよかったな。