2015年3月4日(水)

鼠 塚

東京都渋谷区広尾5-1-21 祥雲寺

鼠塚

長らく悩まされていたネズミたちが、とうとう我が家からいなくなった(らしい)。最近天井裏の運動会が静かだなと思っていたら、先日、ついにねずみ取りの中で空しくなっているのを発見した。マンガでよく見る丸い穴を壁に開けられた時には、被害を怒るよりも、初めて見る実物に感動したものだったが、事態はそんなに呑気なものではない。外に出しっぱなしのお菓子やカップ麺、風呂場の石鹸、はてはオリーブオイルの瓶(プラスチック製)まで囓られてほとほと困っていたのだ。

穴

それで、ネズミ供養に広尾の鼠塚に行ってきた。明治時代にペストが流行った際、予防のために駆除されたネズミを供養するために建てられたものだ。

今以上に昔の人はネズミの害に手を焼いていたことだろうに、ある程度は許しながらうまくやってきたようだ。それが、伝染病予防のためとはいえ徹底的に駆除することになって胸を痛め、慰霊碑を建てたのだろう。昔の人の優しさが伝わってくる。

墓地の奥には、去年の大河ドラマ「黒田勘兵衛」で話題になった福岡藩黒田家をはじめとする諸大名家の墓が並んでいる。黒田長政の墓には覆屋が掛けられほかとは別格の扱いだ。黒田家の菩提寺としては博多の崇福寺が知られているので、ここにあるのは江戸勤番の人たちが詣でるために別に建てられたものだろう。

鼠塚に葬られたネズミ君たちも、昔のお殿様たちと一緒になって、誇らしく安らかな気持ちで眠っていることだろう。

(渋谷区教育委員会の説明板) 黒田長政の墓 | 鼠塚 || 東京都教育委員会の説明板