初心忘るべからず
山梨県北都留郡丹波山村親川
「初心忘るべからず」 分水嶺
ただそれだけ書かれた碑が、ガードレールの外側にポツンと立っている。
碑の裏には「当所でご迷惑をかけるようでしたら 移動もしくは除去しても結構です」と書かれているだけで、誰がいつ建てたものやら由来はなにもわからない。
東京側から来ると、奥多摩湖を過ぎ、鴨沢、御祭の集落を抜けて親川橋を渡り、さぁこれから本格的な山道が始まるぞという辺り。日々溜まってきためんどくさいあれこれや、騒々しく猥雑な都会生活のごちゃごちゃが、ここらでポロリと落ちるポイントかも知れない。
碑の後ろには新緑の山々が広がっている。何百年、何千年と変わらないように見える山の景色も、木々は毎年葉を落とし、また新しい若葉が芽吹いて更新されていく。大自然は決して初心を忘れない。
この深い山の中で、わたしが思い出すべき「初心」ってなんだろう。