2015年7月21日(火)

泉津の切り通し(椿トンネル)

東京都大島町泉津道下

椿の根

木の根が露わになって、まるで地中を行くかのような不思議な景色。

子どもが笛を吹いているのではないかと思うぐらいに大きなウグイスの声に、ときおり犬とカラスが喧嘩しているような「ギャッギャッ」という不気味な鳴き声が混じる。声のする方を見ると、大きなリスの影が木の間を走って消えた。

切り通し

空を覆う椿の木で薄暗くなった切り通しの向こうには何があるのだろうか。何千年の時を越えて眠り続ける古代遺跡を求めて密林に分け入ったような不思議な感覚にとらわれる。

切り通しを抜けた先にも椿並木がトンネルを作るように続いている。この先、泉津小学校の廃校跡付近までが、バス停の名前にもなっている通称「椿トンネル」だ。

夏の陽を遮ってくれる緑陰はありがたいけれど、目に映る景色すべてが真っ赤な花で覆われているような華やかな名前とは裏腹に、季節はずれのトンネルには妖しい雰囲気が漂っている。走り抜けてしまうのは惜しいけれど、ずっとここにいたら何かに攫われてしまうかも知れない。

上り坂をこぐ脚に少し力が入った。