2015年7月21日(火)

月と砂漠ライン

東京都大島町差木地字奥山681

裏砂漠第一展望台

ただ島を一周するだけでは芸がないかと、脇道に入ったのが運の尽きだった。裏砂漠の展望台へと登る月と砂漠ライン。周回道路との分岐が標高355m、そこから3km弱の道のりで標高差250m余りを登る急登に心が折れた。

裏砂漠

息も絶え絶えに辿り着いた駐車場に自転車を置き、アジサイの咲く山道を歩き始める。1〜2分も歩かないうちに草木のほとんど無い砂漠に飛び出した。ごう、という強風にあおられて足元がふらつく。稜線を越えていく雲に視界が遮られたかと思うと、あっと言う間に雲は吹き飛ばされて正面に富士山が見えた。そしてまた、あっと言う間に次の雲がやってくる。

第二展望台と呼ばれる櫛形山(672m)へと続く道の左(西)側には三原山とその火口原が見えているはずなのだが、ひっきりなしに湧き出る雲でほとんど何も見えない。その雲は稜線を越えた途端に霧散して、右(東)側には晴れ晴れとした景色が広がっている。青い空と青い海、水平線には房総半島の先がくっきりと見える。足元から海際まで広々と続く黒い砂漠は、荒涼としてとてもこの世のものとは思えない眺めだ。

ラクダが闊歩する月光に照らされた砂漠ではなく、月面に広がる砂漠はきっとこんな景色なのだろう。日本アルプスを始めたくさんの山に登ってきたけれど、こんな景色は初めてだ。登りは辛かったが、一見の価値は確かにあると思った。

ジオパークの説明板 | もく星号遭難の地 || 三原山山頂口に建つ慰霊碑