2015年9月13日(日)

昭和津波記念碑

宮城県本吉郡南三陸町戸倉

昭和津波記念碑

人々の記憶は、そんなに長くは続かない。紙に書いた記録も金属に彫ったものも時と共に風化していく。ましてや、デジタルデータなんか、昨日書いたものだって読めなくなることがあるぐらいだ。

上り坂

古代エジプトのロゼッタストーンを引き合いに出すまでもなく、石に刻まれた文字は永く残り、後世にさまざまな事柄を伝えてくれる。なかには誰かの自慢話みたいなものもあるけれど、思いがけない発見もあるので、散歩先で目に留まった石碑は念のためチェックしてみると面白い。

南三陸町と石巻市の境界近く、神割崎手前の上り坂の途中に昭和八年(1933)の昭和三陸大津波を伝える記念碑が建っていた。「地震があったら津波の用心」とあるだけの古びた石碑は多くを語らないが、位置的に考えると過去にここまで津波が来たという印なのかも知れない。振り返って見る坂の下は、今回の津波でも被害に遭って未だに景色は荒れたままだ。

昔から幾度となく津波に襲われた三陸地域にはその歴史を伝える多くの碑が残っているという。「此処より下に家を建てるな」などと彫られた石碑に護られたという美談がある一方で、その存在すらも忘れられて後世に教訓を残せなかったという話も伝わっている。今回の被災地でも新たに石碑を建てたところがいくつかあるが、岩手県上閉伊郡大槌町安渡の古学校地区に2013年に建てられた碑は、神社の遷宮のように定期的に更新することによって忘れられないようにしよう、と敢えて木柱にしたそうだ。

碑 文