丸山地蔵尊
宮城県石巻市北上町十三浜丸山37
最後のエイドステーションは北上川河口の「にっこりサンパーク前」。「前」と言ってもあるのは青いゲートだけで、本体ははるか山の上だ。
そのゲートの前に、「にっこり」と笑顔の優しいお地蔵さんが座っている。
写真を撮っているとエイドステーションの入口で交通整理をしていた地元の方に話しかけられた。
「このお地蔵さんは動かすと祟りがあると言われているんだ。中学校の入口(にっこりサンパークの隣に中学校が建っている)にこんなのがあるのは変だという人もいるんだが、動かすわけにはいかないんだ。」
よく見ると少しお顔が横を向いている。
「津波で少しずれてしまったけれど、流されずに残ったんだよ。」
厄災の主である津波でさえも、これ以上悪いことが起きないようにとお地蔵さんを押し流すことをためらったのだろうか。であるならば、もっともっと手加減してくれても良かったんじゃないか。そんな詮無いことを言っても聞いてくれる相手ではないとわかっていても、つい愚痴りたくなってしまう。
そんな人間の千々に乱れた心を優しく包み込んでくれるお地蔵さんの微笑みなのだった。