2015年11月5日(木)

本田家住宅

東京都国立市谷保5122

玄関

谷保天満宮周辺の甲州街道は、狭い道幅に片側2車線の車道と歩道が詰め込まれて危険きわまりない。自転車で車道を走るのは命がけだし、歩道は人一人が通るのもやっとなぐらい狭いので、「親知らず」の怪談話を彷彿とさせる難所になっている。

薬医門

道の両側には旧家の大きな建物が軒を連ねていて、風情があって良いなと思う一方、これが道を広げる妨げになっているのかと恨めしくも思っていた。

その旧家の一つ、国登録文化財に指定されている本田家住宅が文化財ウィークの間に特別公開されるというので見に行ってきた。築300年以上の旧家で、都内でも最古の部類に入る住宅建築だそうだ。

本田家は江戸時代の初期から馬の調教や獣医を生業とし、その後漢方医に転じた旧下谷保村の名士だ。幕末の当主覚庵は書家としても知られ、縁戚にあたる新選組の土方歳三が書を習いに通っていた事もあるという。現代の当主は篆刻家として活動しており、家の中にはたくさんの書や篆刻の作品が並べられていた。書家のセンスなのか、床の間のような雰囲気の表玄関がおもしろい。

薬医門を入ってすぐ右手に、樹齢400年といわれる杉の古木の切株が残されている。遠く多摩川の対岸からも見えた家のシンボル的な存在だったが、昭和54年(1979)に台風で倒れてしまった。運良く北側に向かって倒れたので、建物に被害はなく、その意味でも家の守護神として祀られているのだそうだ。

とらのを(杉の古木の切株)