矢崎山など
埼玉県入間郡越生町津久根
越生梅林から東の方に、気になる山がある。地図にも記載のない無名の山なのだが、梅林の俯瞰を撮ろうとすると、ついその特徴のある烏帽子のような形にカメラが向いてしまう。
帰り道、その山の方から降りてきた尾根の端あたりに「矢崎山の由来」と書かれた説明板を見つけた。説明板の場所から山の姿は見えず、地図で見ると矢崎山はあの山の奥にあるらしいのだが、気にしていなければこの説明板も見過ごしていたかと思うと矢崎山にも親近感が湧く。
説明板によれば、平安時代に源経基が弓立山から四方に放った鏑矢の一つがここまで飛んできたという。北隣のときがわ町にある弓立山からここまでは直線距離で4kmほど。ほかの矢が届いたという三ヵ所もかなりの遠方だが、伝説ならありえることだろう。空海が中国から日本に向かって投げた三鈷杵(さんこしょう)という槍のような仏具は、紀伊半島の高野山まで届いたというからもっと凄い。
単なるほら話だとか、何かの比喩だとか人は言うけれど、本当にそんなことがあったかも知れないと、思ってみるのも楽しいかなとふと思う。