王禅寺村境の石仏群
神奈川県川崎市麻生区王禅寺912付近
瀟洒な住宅街を抜けて横浜市から川崎市に入ったら、急に景色が変わって山間のひなびた景色になった。住所も「美しが丘」から「王禅寺」に変わって、言い方はおかしいかも知れないが、ヴァーチャルなゲーム世界から過去・現在・未来が連綿とつながったリアル世界に戻ってきた気分になる。
田園都市線・たまプラーザと小田急線・新百合ヶ丘の間の地域は山がちで起伏が多く、自転車で走るのには苦労する。特に開発の進んだ住宅街は景色が平板で地形がわかりにくいので、意に反して登らされたり下らされたりしてしんどい。実感で山坂がわかる景色に出会ってホッとした。
その境目に打ち棄てられたように石仏たちが立っている。境界を守る塞の神なのだろうけれど、そのために建てたというよりはもてあました石仏を寄せ集めたような雰囲気が寂しい。
裏山に祀られた山王社を訪ねてみる。転がり落ちそうな急階段の参道を避けて女坂と思われる山道を登っていくと早咲きの桜が咲いていた。住宅街の桜並木より、こういう桜がホッとするかな。ふとそう思った。