隼の大草鞋
山梨県山梨市牧丘町隼2392付近
国道脇の桜の木に大きな草鞋が掛かっていた。桜は盛りを過ぎて盛大に花びらを散らしているけれど、草鞋はまだ新しく、作られてからそれほど経っていないようだ。
傍らの説明板によれば春の社日に掛け替えるということなので、今年は3月17日に新調されたことになる。
東京でも似たような例を見たことがある。集落の境に草鞋を吊して魔除けにするというものだった。
この草鞋もおそらく笛吹川の向こうからやってくる厄災を防ぐために掛けられているのだろう。大きな草鞋には、「ここにはこんな草鞋を履くほどの大男がいるんだぞ」と誇示して魔物を恐れさせる意味があると聞いたことがある。説明板には書かれていないけれど、あながち的外れでもないと思う。
傍らの祠には摩利支天尊が祀られていた。摩利支天といえば思い出されるのは甲斐駒ヶ岳の険しい岩峰だ。もうアルプスに登る力はないけれど、麓から山々を眺めながら走るのは楽しそうだな。久しぶりにその名を聞いて、かつての山への憧れがまた甦ってきた。