永の前入沢 堰堤
山梨県山梨市牧丘町室伏1132付近
子供の頃はよく知っていたのに、今は全然思い出さないことがある。思い出さないわけだから、それがなんなのかここで例を挙げることはできないが、ひとつ思い出したのが「ビーバー」だ。
乙ヶ妻のしだれ桜の駐車スペースの奥に見えた砂防ダムは丸太を積み上げて造った、まさにビーバーのダムのような外観をしている。中央上部に開いた排水溝の断面を見ると、実際にはコンクリート製で、表面だけを木で覆ったようにも見えるが詳細は不明だ。
北アメリカの森林にはビーバーというネズミを大きくしたような動物がいて、大きな前歯で木樵のように木の根元を削って切り倒し、伐った木でダムを造る。川を堰き止めたダム湖の中に作った巣は、お椀を伏せたようなドーム型をしていて、入口が水面下にあるので外敵を防ぐことができる。幅広の櫂のような尾を持っているので泳ぐのが得意だ。そんなあれこれがすらすらと甦ってくる。
こんな風に動物の生態に詳しかったり、花の名前や世界の国名・国旗をそらんじていたり、子供の頃は(自分で言うのもおかしいが)ずいぶんと物知りだったような気がするのだが、悲しいかな、あの時の記憶はどこに行ってしまったのだろう。