2016年4月10日(日)

甚六桜公園(旧勝沼駅)

山梨県甲州市勝沼町菱山3052

旧勝沼駅ホーム跡

高校の山岳部時代、勝沼駅のプラットフォームから見た絶景が忘れられない。

当時の行楽はまだ鉄道が主流だったので、秋の連休の中央線はブドウ狩り帰りの人たちで通勤ラッシュ並みの混雑だった。勝沼駅で少し長めの停車時間があった時、混雑を逃れてホームに立つと、色違いのタイルを敷きつめたように広がるブドウ畑の向こうに南アルプスの稜線が白く輝いて見えた。

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昔の記憶なので、別の時に見た景色と混同しているかも知れないが、少なくとも勝沼駅のホームからの見晴らしは360度遮るものがないみごとなものだったと強く印象に残っている。

今は満開の桜に覆われて、その合間から展望が開ける角度を探すのに苦労する。駅周辺に桜の木が植えられたのは昭和52年(1977)だというから、当時はまだ桜に展望を遮られることはなかった。きれいな桜も良いけれど、わたしはもう一度あの絶景を見たい気がする。

桜が植えられている甚六桜公園は、単線時代に使用されていた旧勝沼駅の跡だ。昔のプラットフォームと今のプラットフォーム、走る電車ときれいな桜、という絵で写真を撮ろうと狙ってきたのだが、あと数枚撮って後は電車に乗って帰るだけ、というところでデジカメの電池が切れた。最後の最後、絞り出した電池で撮れたのが左の一枚。限られたフィルムで一撮入魂のシャッターを押していた昔を思い出した。

(参考)2016年の東京の桜開花宣言は、3月21日でした。

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