ブドウ畑
山梨県甲州市勝沼町
シュール・リー。それがなんだか詳しくはわからないけれど、堪らなく甘美なイメージを喚起させる言葉。頻繁に聞くような言葉ではないのに、何十年も前からわたしの耳について離れない。
社会人になって最初にいいと思ったワインはサントリーのシャトーリオンだった。ベタベタと甘くないドライな飲みごこちに、ワインってこんなにおいしいものだったのかと開眼した思いがしたことを思い出す。
ほどなくメルシャンから甲州種をシュール・リー製法で辛口に仕上げたワインが発表されて、一気に虜にさせられた。「勝沼」の名はそれ以来、わたしにとってワインの聖地として記憶されている。
まだやっと桜が咲いたかという時期の勝沼は、静かに眠るようだった。ぶどう園もワイナリーもシーズン前の静養期間という感じ。わたしもエネルギーを貯えて、また秋に再訪しよう。オフシーズンのブドウ棚の、稲妻が走ったような景色が印象的だった。