尾崎観音
東京都あきる野市菅生263 宝蔵寺
簡素ではあるけれどよく手入れのされたバスの待合所が目に入った。正面に書かれた「尾崎観音前」の文字が整いすぎていて、少し違和感がある。往きはやり過ごしたけれど、妙見宮からの帰り道、やっぱり気になって寄ってみた。
参道で立ち話をしていた二組の母子はすぐにいなくなって、境内にはわたし一人になった。訪れる人もない寂しいお寺かと思いきや、参道の突き当たりに建つ観音堂の前に鈴なりになった絵馬を見て、バス停のきれいさに得心がいった。
願掛けの文面を見ると、どうやら安産・子授けに御利益があるらしい。
お堂に掛けられた大願成就の奉納額の中に、産湯を使う母子を庭先から見守る観音菩薩が描かれているものがあった。観音さまも母子もみな優しく穏やかな表情で、画面に幸せが充ち満ちている。幸せのお相伴にあずかった気分で、帰り道の足が軽かった。