花咲くシュロの木
東京都西多摩郡檜原村小沢3901
シュロ(棕櫚)の木に鮮やかなオレンジ色の花が咲いている。今が盛りと満開になっているけれど、あれ、シュロの木って花が咲くの?
案の定、花はノウゼンカズラ(凌霄花)だった。シュロの木にガッチリと蔓を絡ませて見事に共棲している。シュロの木もこんな風に着飾れてうれしいに違いない。
実際のシュロの花は?と調べてみると、数の子のような黄色い塊が幹の先からいくつも垂れ下がっている写真が見つかった。ある意味、想像通りではあるけれど、こっちの方が断然いい。
ところでこの「シュロの木」、松や楓などの一般的な庭木と並ぶと違和感のある姿だが、なぜか散歩先でよく見かける。それも、推定昭和30年代に建てられたと思われる家の庭先や、畑の隅などにあることが多く、最近建った家にはあまり見かけないように思う。。
一説には、戦後、人々の生活が洋風化していくなかで、その象徴としてシュロの木を植えることが流行ったとか、「トリスを飲んで、ハワイへ行こう!!」というCMに代表されるハワイブームが影響している、などと言われているらしい。ヤシの木に似た姿が、ほのかに異国情緒を感じさせる。清少納言も枕草子に「唐めきて」いる(異国情緒がある)と書いているぐらいだ。
檜原村のシュロの木は、山里の風景から浮いて見えるその照れ隠しに、ノウゼンカズラの衣を身にまとったように見えた。