2016年8月31日(水)

一之釜

山梨県山梨市三富川浦 清水渓谷

男滝

「一之釜」という名前を聞いて、くまのプーさんが抱えている壺に音も無く注がれる一筋の蜂蜜を思い浮かべてきた。西沢渓谷ほど有名ではないけれど、それ故に人知れず静かに落ちる滝とエメラルド色の滝壺の組合せが、神秘的に見えるはずだった。

女滝

ところが、今日の一之釜は台風10号による昨日までの雨の影響で、大荒れに荒れている。勢いよく落ちる滝(男滝)の飛沫は、向かいの岩にぶつかって霧となり、視界が霞んで見える。滝壺は濁り、激しく波打って魔女が毒を煮る釜のようだ。

滝壺から先に続く女滝は、水害で決壊した堤防を越えていく流れにしか見えない。それでも天気は良いので、飛沫に映る虹がきれいだ。

昭和50年(1975)に上流に広瀬ダムができて、それ以前に比べるとおとなしい滝になったと聞いてきたが、昔はこんな感じだったのだろうか。

日本各地の滝と同じように、ここにも暴れる龍に関する伝説が伝えられている。確かにこの景色を見れば、龍神を畏れる人々の気持ちがよくわかる。タイミングが良かったのか、悪かったのか。いずれにしても貴重な体験になった。

三富村の説明板