貞泉の滝
山梨県山梨市三富上釜口
真四角の、まるでプールのような滝壺が現れた。上流側が貞泉の滝、下流側にも小さな滝があって、前後に給排水の閘門を備えた運河の一部を見るようだ。
船の修理を行うドックのようにも見えるので、「鬼の造船所」とでも呼びたくなる。いや、こんなところに大きな船を現すことができるとすれば、それは天狗の仕業か。
西沢渓谷の滝は水流によって滑らかに磨かれた花崗岩の大岩を超えて落ちるものが多いので、瀑布の落ち口が透明なものが多い。この滝も、この前の竜神の滝も上部がU字型に透けていて、大柄な夫人が胸ぐりを大きく開けたレースの服をまとっているように見えておもしろい。
この滝の上流側はところてんが岩の上を滑らかにすべるように流れる滑滝になっているようなのだが、今日は水の勢いが強すぎて、白い飛沫を上げて流れる様子が流しそうめんのようだ。途中の大岩に、そばちょく（蕎麦猪口）のようなくぼみがあったけれど、この速さでそうめんを掬うのは至難の業だね。