駐日クウェート国大使館
東京都港区三田4-13-12
昔、ある建築家と話をしていて、「建築をデザインする時には、スケッチなんか描かないで積み木を積んでみるんだよね」と聞いたことがある。そういえば、積み木遊びをする子どもたちも、最初に作るのは家やお城だったりする。
丹下健三が1970年に設計したクエート大使館は、まさに積み木で建てたようにそれぞれの設計ユニットが積み重なってできている。それも、ただ積み重ねただけではなく、上層階が浮いて見えるところが特徴的だ。
大使館機能を持つ下層階と、大使公邸である上層階。ビジネスとプライベートを明確に切り分けたデザインなのだ。その間に位置する空間は、中近東の建築に特徴的な中庭をイメージしているのだろうか。緑の木々が顔をのぞかせている。
写真を撮るアングルを探していたら、遠景に東京タワーが見えた。その角度から見る建物の姿は、重量級の戦闘ロボットのようでもある。首都東京を睥睨して侵略のタイミングを計っている、そんな不気味な想像が、ふと頭をよぎった。
いや、クエートと日本がそういう関係だと言う意味ではないので、くれぐれも誤解の無きように。そこんとこよろしく。