中野島周辺
神奈川県川崎市多摩区中野島3-17-1付近
中野島の辺りをどこに行くともなくブラブラしていたら、用水沿いにお地蔵さんと庚申塔が相次いで立っている場所に出合った。丁寧に屋根が掛けられた庚申塔には享保十五年(1730)の銘がある。後ろに見える子守柿を残した柿の木が近づく冬を感じさせる。
お地蔵さんの方はいつのものかわからない。二段になった台石の下の方には「當村中」とあるが、真ん中の石には「○○信士」「△△信女」などの文字が並び墓石を代用したもののように見える。なんとも不思議な雰囲気だ。
右の写真を撮ったところから振り向いた道の角には古い道標が立っていた。南側は塀が迫っていて読めないが、北側に「向 中野島駅 調布方面」、西側は「正面 稲田堤 稲城村方面」、東側(裏)に「御大典記念 昭和三年十一月建 中野島分團」とある。昭和天皇の即位を記念して建てられたものだ。
JR南武線の前身の南武鉄道中野島停留場の開業が昭和2年、駅に昇格したのが4年だというから、道標を建てるには良いタイミングだったのかも知れない。
道標が立つほどの交通の要衝だったとは、今の様子からは想像できないが、昔はどんな景色だったのだろうか。