2016年12月1日(木)

ホルトノキ

神奈川県川崎市多摩区菅稲田堤2-9-1 稲田公園

ホルトノキ

秋、紅葉の景色にはホ短調の曲が似合う、と思っても、頭に浮かんでくるのはヘ長調の「手のひらを太陽に」。秋の日のヴィオロンのもの悲しさではなく、元気いっぱいの子どもたちの歌声だ。

秋

振り返ってみれば、高校の時、初めて一眼レフのカメラを手にして紅葉の写真を撮りに行った時、逆光に透かしてみるモミジの美しさを発見して以来、この歌が頭から離れない。

順光では血が固まってカサブタになったように暗く見える紅葉が、逆光では生き生きと、まさに「僕らはみんな生きている!」とばかりに輝いて見える。この時期は、逆光の景色ばかり見ているから眼に悪い。

稲田公園で見たホルトノキは、赤ちゃんの手のひらのようなモミジとはまた違った、天狗のうちわのようにたくましい手を広げていた。部分的に赤くなっている様子や重なった葉の影がレントゲン画像のように見える所がおもしろい。空に向かって上向きに梢を反らせて、みな一斉に手のひらを太陽にかざしている。

ところで、「ホルトノキ」という不思議な名前には、実がオリーブに似ている所から、ポルトガルから渡ってきたオリーブ油(ホルト油)の木と間違えて平賀源内が命名したという説があるそうだ。図鑑でもホルトノキ科ホルトノキ属と正式名称にされているけれど、はて、平賀源内以前はなんと呼んでいたのだろう?